04KAJIMA202407鹿島グループ中期経営計画(2024∼2026)―中核をさらに強化し,未来を開拓する―今年度から「鹿島グループ中期経営計画(2024~2026)」がスタートした。世界的なインフレの進行や地政学リスクの増大など,不透明感が残る経済情勢の中で,前中期経営計画を順調に進めた成果を礎に,鹿島の中核をさらに強化し,未来を開拓するための3年間となる。今月号は,天野社長からのメッセージとともに,鹿島グループのありたい姿や計画の骨子,成長戦略を解説する。 鹿島グループは,本年4月に新たな中期経営計画(2024∼2026)をスタートさせました。 今回の中期経営計画には,『中核をさらに強化し,未来を開拓する』という副題を付けています。概ね順調に進捗した前中期経営計画を基本的には継承しつつ,技術立社として国内外の建設事業,不動産開発事業をさらに強化するとともに,バリューチェーンの拡充やR&D,イノベーションの推進により新たな価値を創出することで,未来を開拓し,持続的な成長を目指す計画としました。これらを実現させるため,R&D・デジタル,国内外の不動産開発に加え,環境,人的資本関連など,前中期経営計画を上回る3年総額1.2兆円程度の投資を計画しています。サステナビリティに関しては,中期経営計画にあわせて環境ビジョンを見直し,新たに「鹿島環境ビジョン2050plus」として,鹿島グループの目標や行動計画を再構築しました。また,建設業を持続可能なものとするための担い手確保策にも継続して取り組みます。 本中期経営計画の策定にあたり,社員や役員の声,経営理念や受け継いできた企業風土,価値観などを,鹿島グループの「ありたい姿」として具体的に言語化しました。価値創造の源泉である「人」と「技術」をつなぎ合わせ,顧客,さらにはその先にある社会に貢献することを表したものです。「ありたい姿」は4つの項目で構成しており,特に,「技術」については,現場の最前線での気づきや探中期経営計画のスタートにあたり社長 天野裕正

05KAJIMA202407求心から生まれる発想を大切にし,社外の知も取り入れながら積極的に挑戦してほしいという思いを込めました。仮に思い通りに進まなくても,挑戦したことに誇りと楽しみを感じ,次の挑戦につなげていく。そのような積み重ねこそが技術立社としての糧になると考えます。「人」については,挑戦を後押しする職場風土のもと,社員一人ひとりが自分の仕事ぶりに手ごたえを感じ,出来栄えに満足感を覚える。そして,それを追い求める気持ちが自然に湧いてくるようなエンゲージメントの高い企業グループを目指すことを示しています。「ありたい姿」は,現在・未来を問わず私たちが心に持ち続けるべき言葉であるため,改めて確認してください。 さて,私が社長に就任してからちょうど3年が経ちました。 就任以来,力を入れてきたデジタル化の取組みは,社内に浸透してきたと感じています。知識やノウハウがデジタルデータとして蓄積,活用され,生産性向上や技術水準の向上に効果を発揮しつつあり,今後はデータを価値の源泉として,社員の新しい発想や生成AIをはじめとした新たな技術も取り入れ,発展させていく方針です。また,時間外労働上限規制が建設業に適用されましたが,これを私たちの働き方改革を加速させる好機と捉え,「ありたい姿」も念頭にスマートな働き方と自身の生活の質の向上に挑戦していただきたいと思います。1鹿島グループのありたい姿社員・役員からの声や経営理念,受け継いできた企業風土・価値観などを踏まえ,鹿島グループの「ありたい姿」を具体的に言語化価値創造の源泉である人と技術をつなぎ合わせ,顧客,さらにその先にある社会に貢献することを目指す社会への貢献と社業の発展を持続的に両立させる社会「」「」「」「」「」「」顧客の期待を超える価値をつくるプロセスとともに提供する顧客現場の創意工夫から生まれる技術を大切にする技術人経験を礎に多様な知をあわせ未知の課題に挑み続ける高いエンゲージメントのもと多様な人材が個性を発揮する一人ひとりが主体性をもって新しいことに挑戦し続ける 今後3年間,国内建設事業は,大規模プロジェクトを中心に多くの工事量が見込まれ,海外事業は初めて売上高が1兆円を超える見通しです。設計・施工会社としての経験・技術力に加え,不動産開発,エンジニアリング・維持管理分野を含めた建設バリューチェーン全体でサービスを提供できる鹿島グループへの期待は,ますます高まっていると感じています。顧客や社会からの信用に支えられてきた鹿島グループが,将来にわたって良い会社であり続けるために,中期経営計画を道標として各施策を着実に進め,経営目標を達成するとともに,お客様と社会に貢献できるよう社員の皆さんと取り組んでいきたいと思います。

06KAJIMA202407連結当期純利益2026年度目標1,300億円以上株主還元配当性向を40%目安に引き上げ(今後も機動的な自己株式取得を継続)2024年度は300億円の自己株式を取得成長投資1.2兆円程度ROE継続的に10%を上回る水準鹿島グループのありたい姿外部環境前中期経営計画の振り返り成長戦略I国内建設事業を深めるIII技術立社として新たな価値を創るIVサステナビリティII成長領域を伸ばす技術立社として,国内外の建設事業,不動産開発事業をさらに強化するとともに,バリューチェーン拡充やR&D,イノベーション推進により,新たな価値を創出する−中核をさらに強化し,未来を開拓する−鹿島グループ中期経営計画(2024∼2026)外部環境認識と前中期経営計画の振り返り 新しい中期経営計画は,鹿島グループの目指す「ありたい姿」を念頭に,「外部環境認識」や「前中期経営計画の振り返り」などを踏まえて策定した。 外部環境については,政治経済・環境・社会・技術のメガトレンドを捉えて,鹿島グループへの影響を,機会とリスクの観点から検討を行った。社会の要請,顧客のニー績水準を継続した。事業領域の拡大や新たな価値創出に向けた投資を進め,その成果も徐々に現れつつある。 成長戦略―4つの柱 前3カ年の基本的な方向性を引き継ぎ,今回の中期経営計画では「中核をさらに強化し,未来を開拓する」を副題としている。成長戦略には,「国内建設事業を深める」「成長領域を伸ばす」「技術立社として新ズは,高度化・多様化が進んでおり,機会を的確に捉えた事業を推進することが重要となる。 前中期経営計画(2021∼2023)に関しては,業績,施策ともに成果をあげた3カ年と総括できる。国内建設事業で安定的に収益を確保し,投資成果による国内・海外開発事業の収益水準を向上させたことで,連結当期純利益1,000億円以上,ROE10%以上を3年連続で達成。高い業2中期経営計画の骨子新たな中期経営計画は,中核である国内建設事業,不動産開発事業,海外事業のさらなる強化を進めるとともに,技術立社としてバリューチェーンの拡充やR&D,イノベーション推進により新たな価値を創出し,社会や顧客とともに未来を開拓していく計画としている

07KAJIMA202407特集 鹿島グループ中期経営計画(2024~2026) ―中核をさらに強化し,未来を開拓する―2021年度 2022年度 2023年度1,038億円 1,117億円 1,150億円当期純利益 当期純利益 11.4% 11.2% 10.2% ROE 中核事業の一層の強化●生産施設,再エネ,インバウンドなど重点分野の受注・ 施工順調●国内・海外開発事業の資産積み上げと売却による利益実現●鹿島スマート生産,自動化施工の加速新たな価値創出への挑戦●TheGEAR開業●再エネ分野への投資,体制強化●熱海ビーチラインの取得,運営・実証経営基盤整備とESG推進●新たなCO2削減目標設定,SBT認定取得●CO2-SUICOMの実用化・高度化推進●鹿島テクニカルセンター等研究施設開業,鹿島パートナー カレッジ開校●重層下請構造改革の進展●社員の処遇改善,育休取得率向上●全社を挙げた働き方改革の推進国内建設事業●建設コスト上昇への対応 ●設備サブコンへの調達力の強化●時間外労働上限規制への対応 ●安全成績の改善成長領域,R&D●海外事業の体制強化 ●投資・R&Dの成果追求●建設の上流・下流分野への取組み,新たなビジネスの創出経営基盤●人材の採用と育成,担い手確保●ダイバーシティ(DE&I)の推進 ●コンプライアンス徹底の継続●環境課題への取組みのさらなる強化業績・財務の振り返り継続課題施策の成果20152017202020231,000億円ROEは2015年度以降継続的に10%以上を達成リスク機会メガトレンド政治経済▶建設コストや不動産開発コストの上昇▶新規プロジェクトの延期や凍結▶経済安全保障関連の需要増 (例:半導体,EV・蓄電池,医薬品)▶物価上昇・金利上昇▶地政学リスク・国家間対立▶脱炭素・資源循環・自然再興▶自然災害の頻発化・激甚化▶計画的なCO2排出量削減の必要性▶環境配慮の欠如による信頼度の低下▶再エネ(例:洋上風力)の需要増▶環境配慮型技術・設計に対するニーズ▶国土強靭化や防災・減災の需要増環境技術▶デジタル化の進展-汎用技術の 普及▶モビリティ・通信・物流の変革▶自動化・ロボット化やデジタルツイン, 生成AIの活用による生産性向上▶汎用的な先端技術へのアクセス▶Eコマース進展による物流施設の 需要増▶異業種による建設業への参入▶人材獲得競争の激化や離職者の増加▶建設需要に対する供給リソースの不足▶人材への投資によるスキル向上▶経営戦略に見合う多様な人材の獲得▶ウェルネスに配慮した空間設計の 需要増▶再開発や更新・リニューアルの 需要増社会▶人的資本経営▶価値観・働き方の変化  国内建設業▶建物やインフラの老朽化▶技能者の減少,残業規制の適用外部環境に関する現状認識─機会とリスク前中期経営計画(2021∼2023)の振り返りたな価値を創る」に加えて,「サステナビリティ」を据えた。 国内建設事業に関しては,土木・建築ともに旺盛な需要が続く見通しである。働き方改革や担い手確保の施策を進めながら,デジタル化などの生産性向上を追求して,建設生産システムの深化と,収益力の維持・向上を図る。また,不動産開発事業や海外事業については,鹿島グループの成長領域と位置づけ,バリューチェーンの拡充とあわせて,鹿島ならではのソリューションを提供し優位性を高めていく。国内外における建設事業,不動産開発事業の基盤として,技術力が重要である。時代や社会の要請に応える新たな研究技術開発を進めるとともに,自社の技術と外部の先端技術の融合によって,新たな価値創出を目指し,技術立社として邁進する。 最後に,サステナビリティは,地球環境,人材,コンプライアンス・人権の尊重の3項目で構成した。地球温暖化や自然災害の頻発,激甚化など気候変動に対応するとともに,多様な人材が活躍できる仕組みづくり,建設業の担い手確保に向けた取組みを継続することにより,鹿島グループの持続的な成長と環境・社会の持続可能性につなげる。 次ページ以降では,この4つの柱や経営目標,財務戦略をさらに紐解く。

08KAJIMA202407III技術立社として新たな価値を創る社会,顧客,現場の課題を特定し,自社の技術や外部の先端技術等との組み合わせにより解決するとともに,技術立社として,オープンイノベーションも活用した技術開発を推進し,新たな価値を創出する3成長戦略設計施工会社としての経験・技術力に基づき,社会や顧客への価値創出力を強化するとともに,デジタル化による生産性向上・業務効率化を推進することによって国内建設事業を深化させ,持続的な収益力を高めるI国内建設事業を深める米国拠点技術研究所(日本)TheGEAR(シンガポール)▶重点分野における実績と人材・ノウハウを蓄積▶社会・顧客の課題やニーズに応える提案力を強化①社会・顧客に付加価値をもたらす提案力・ 設計施工力・エンジニアリング力の強化▶建設現場へ自動化・ロボット化・スマート生産技術を実装▶生成AIの活用などにより,業務効率を改善自動化施工技術A4CSEL(クワッドアクセル)②デジタル化の推進による生産性向上・ 業務効率化▶安全を最優先した現場運営を実施▶時間外労働削減に資する現場業務の見直し,管理部門等による 支援を充実▶多様な人材,多様な働き方に適応した現場づくり③安全で魅力ある働きやすい現場の追求▶市場動向をとらえた投資・資産売却により収益を確保▶外部資金の活用や投下資金の早期回収等により投資効率を向上①不動産開発事業の収益拡大と投資効率向上②グローバル・プラットフォームの強化▶社会・顧客・現場の課題に対応するR&Dの推進▶グローバルネットワークを活用したR&D体制の構築①グローバルなR&D体制の強化▶自社技術と外部の先端技術の 融合によるイノベーション活動の推進NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)グリーンイノベーション基金事業 環境配慮型コンクリートドーム「CUCO®-SUICOMドーム」②イノベーション推進による新たな価値の創出▶鹿島グループの有するリソースと強みが活きる新たな事業への挑戦 保有する山林を活用した森林分野 藻類再生・培養技術を活かした海洋分野 自動化施工技術を高度化した宇宙分野 など③鹿島らしい新規事業の創出エネルギーインフラ更新重点分野再開発事業生産施設▶レパートリーの拡充により収益機会を多様化 (ホテル,住宅,物流倉庫など)▶私募リートの成長を通じて,新たな収益機会を創出▶市場・金融動向を見極め,時機をとらえた投資と売却による 回収を推進▶売却により回収した資金・利益を再投資するサイクルを着実に拡大国内開発事業海外開発事業▶厚みのあるネットワークを活かし,収益力・収益機会を拡充▶事業規模拡大に伴い経営基盤を整備,ガバナンスを強化▶鹿島グループ内外との連携強化による提供価値の向上 建設事業と開発事業のシナジー効果 鹿島グループ一体となった上流から下流まで一貫した質の高い  サービスの提供 有益な外部パートナーの発掘・協業 など▶M&A等によるバリューチェーン拡充③バリューチェーン拡充による 収益源の多様化米国拠点技術研究所(日本)TheGEAR(シンガポール)▶重点分野における実績と人材・ノウハウを蓄積▶社会・顧客の課題やニーズに応える提案力を強化①社会・顧客に付加価値をもたらす提案力・ 設計施工力・エンジニアリング力の強化▶建設現場へ自動化・ロボット化・スマート生産技術を実装▶生成AIの活用などにより,業務効率を改善自動化施工技術A4CSEL(クワッドアクセル)②デジタル化の推進による生産性向上・ 業務効率化▶安全を最優先した現場運営を実施▶時間外労働削減に資する現場業務の見直し,管理部門等による 支援を充実▶多様な人材,多様な働き方に適応した現場づくり③安全で魅力ある働きやすい現場の追求▶市場動向をとらえた投資・資産売却により収益を確保▶外部資金の活用や投下資金の早期回収等により投資効率を向上①不動産開発事業の収益拡大と投資効率向上②グローバル・プラットフォームの強化▶社会・顧客・現場の課題に対応するR&Dの推進▶グローバルネットワークを活用したR&D体制の構築①グローバルなR&D体制の強化▶自社技術と外部の先端技術の 融合によるイノベーション活動の推進NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)グリーンイノベーション基金事業 環境配慮型コンクリートドーム「CUCO®-SUICOMドーム」②イノベーション推進による新たな価値の創出▶鹿島グループの有するリソースと強みが活きる新たな事業への挑戦保有する山林を活用した森林分野藻類再生・培養技術を活かした海洋分野 自動化施工技術を高度化した宇宙分野 など③鹿島らしい新規事業の創出エネルギーインフラ更新重点分野再開発事業生産施設▶レパートリーの拡充により収益機会を多様化 (ホテル,住宅,物流倉庫など)▶私募リートの成長を通じて,新たな収益機会を創出▶市場・金融動向を見極め,時機をとらえた投資と売却による 回収を推進▶売却により回収した資金・利益を再投資するサイクルを着実に拡大国内開発事業海外開発事業▶厚みのあるネットワークを活かし,収益力・収益機会を拡充▶事業規模拡大に伴い経営基盤を整備,ガバナンスを強化▶鹿島グループ内外との連携強化による提供価値の向上建設事業と開発事業のシナジー効果 鹿島グループ一体となった上流から下流まで一貫した質の高い  サービスの提供 有益な外部パートナーの発掘・協業 など▶M&A等によるバリューチェーン拡充③バリューチェーン拡充による 収益源の多様化米国拠点技術研究所(日本)TheGEAR(シンガポール)▶重点分野における実績と人材・ノウハウを蓄積▶社会・顧客の課題やニーズに応える提案力を強化①会・顧客に付加価値をもたらす提案力・ 設計施工力・エンジニアリング力の強化▶建設現場へ自動化・ロボット化・スマート生産技術を実装▶生成AIの活用などにより,業務効率��改善自動化施工技術A4CSEL(クワッドアクセル)②デジタル化の推進による生産性向上・ 業務効率化▶安全を最優先した現場運営を実施▶時間外労働削減に資する現場業務の見直し,管理部門等による 支援を充実▶多様な人材,多様な働き方に適応した現場づくり③全で魅力ある働きやすい現場の追求▶市場動向をとらえた投資・資産売却により収益を確保▶外部資金の活用や投下資金の早期回収等により投資効率を向上①不動産開発事業の収益拡大と投資効率向上②グローバル・プラットフォームの強化▶社会・顧客・現場の課題に対応するR&Dの推進▶グローバルネットワークを活用したR&D体制の構築①ーバルなR&D体制の強化▶自社技術と外部の先端技術の 融合によるイノベーション活動の推進NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)グリーンイノベーション基金事業 環境配慮型コンクリートドーム「CUCO®-SUICOMドーム」②イノベーション推進による新たな価値の創出▶鹿島グループの有するリソースと強みが活きる新たな事業への挑戦 保有する山林を活用した森林分野 藻類再生・培養技術を活かした海洋分野 自動化施工技術を高度化した宇宙分野 など③島らしい新規事業の創出エネルギーインフラ更新重点分野再開発事業生産施設▶レパートリーの拡充により収益機会を多様化 (ホテル,住宅,物流倉庫など)▶私募リートの成長を通じて,新たな収益機会を創出▶市場・金融動向を見極め,時機をとらえた投資と売却による 回収を推進▶売却により回収した資金・利益を再投資するサイクルを着実に拡大国内開発事業海外開発事業▶厚みのあるネットワークを活かし,収益力・収益機会を拡充▶事業規模拡大に伴い経営基盤を整備,ガバナンスを強化▶鹿島グループ内外との連携強化による提供価値の向上建設事業と開発事業のシナジー効果 鹿島グループ一体となった上流から下流まで一貫した質の高い  サービスの提供 有益な外部パートナーの発掘・協業 など▶M&A等によるバリューチェーン拡充③バリューチェーン拡充による 収益源の多様化II成長領域を伸ばす建設ノウハウを活用した不動産開発事業,各地域に根づいた海外事業で独自性を発揮するとともに,バリューチェーンを拡充することにより,収益の拡大を図る

09KAJIMA202407特集 鹿島グループ中期経営計画(2024~2026) ―中核をさらに強化し,未来を開拓する―▶現場における再生材(特に主要資材)の積極採用▶木造・木質化建築の拡大,体制強化▶再資源化率向上への取組み推進【削減策】生産性向上と省エネによる排出量削減再エネ電力・バイオ燃料の確保と利用推進アスファルト製造プラントにおける 燃料使用量削減(鹿島道路)【削減策】(サプライチェーン上流)CO2-SUICOMなど環境配慮型コンクリートの開発・適用電炉鋼鉄骨利用推進(サプライチェーン下流)ZEBによる省エネ率向上①「鹿島環境ビジョン2050plus」の推進脱炭素 カーボンニュートラルを目指した取組み資源循環 サーキュラーエコノミーを目指した取組み▶生物多様性や生物資源への配慮,水資源への依存の極小化などの設計提案と環境認証等の積極活用▶藻場/サンゴ再生・棚田保全など,顧客や地域と連携した保全活動▶社有林等の自社所有地での生態系保全/再生自然再興 ネイチャーポジティブを目指した取組み▲23%2026年度目標(2030年度目標▲42%)(2030年度目標▲25%)Scope1+2排出量▲10%2026年度目標(2021年度比)(2021年度比)Scope3排出量▶気候変動により頻発・激甚化する風水害と大地震への防災・減災対策▶BCMを支援するハード・ソフト両面の技術開発と適用 ※BCM:BusinessContinuityManagement(事業継続マネジメント)②自然災害に対する社会・企業の サステナビリティの確保制震技術(1)地球環境 2013年に策定した「鹿島環境ビジョン:トリプルZero2050」を見直し,『鹿島環境ビジョン2050plus』として改定した。 新たなビジョンでは,「脱炭素」「資源循環」「自然再興」の3つの分野が相互に関連しあっていることも認識したうえで,2050年にカーボンニュートラル,サーキュラーエコノミー,ネイチャーポジティブの実現を目指したロードマップを示している。 鹿島グループとして積極的に推進するとともに,顧客,社会と協力して取り組んでいくことが不可欠であり,環境保全と経済活動が両立する持続可能な社会の実現に向け,取組みを強化していく。①成長・変革を担う人づくり・仕組みづくり②サプライチェーンの維持・強化,担い手確保▶建設技能者の処遇を改善▶重層下請構造改革を継続 (原則二次下請に限定した施工体制構築)▶協力会社支援を充実(人材育成,連携強化等)▶一人ひとりが高い倫理観を持って誠実に行動する組織・風土の醸成▶サプライチェーンを含めたコンプライアンス徹底,人権の尊重※DE&I:ダイバーシティ,エクイティ&インクルージョン(3)コンプライアンス・人権の尊重協力会社の技能者や後継者人材を育成する「鹿島パートナーカレッジ」●中核事業を担う人材の新卒採用強化 ●新分野,専門性の高い人材のキャリア採用推進必要な人材を確保する●OJT,計画的な経験・挑戦機会付与による成長促進 ●マネジメントスキル向上の推進●十分な自己学習機会の提供人材を育てる●働き方改革の推進●DE&Iの推進,健康経営●育児,介護等に配慮した人事制度の充実全員が活躍できる職場をつくる●人材情報基盤の整備●人事部門のグループ連携強化●社員の処遇改善人的資本に関する基盤を整える●良質なコミュニケーションの促進によるエンゲージメントの向上●中長期的なキャリア形成の推進 ●資質,適性,希望等に基づく社員の能力発揮支援新たな価値観を取り入れた環境・仕組みをつくる(2)人材IVサステナビリティサステナビリティは,(1)地球環境,(2)人材,(3)コンプライアンス・人権の尊重に関する3つの施策を策定した※NbS:Nature-basedSolutions鹿島環境ビジョンを改定Topic

10KAJIMA20240745経営目標財務戦略国内建設事業における着実な利益成長と,成長領域である不動産開発事業,海外事業の収益拡大,バリューチェーン拡充により,ROE10%以上の継続と,2026年度の連結当期純利益1,300億円以上,2030年度の1,500億円以上を目指す成長戦略を推進し経営目標を達成するために,総額1.2兆円程度の投資を計画配当性向の40%目安への引き上げと機動的な自己株式取得の継続に���り,投資とのバランスを考慮した株主還元を実施2001507201,300億円以上1,050億円ROE1,500億円以上202420262030連結当期純利益海外事業国内開発事業国内建設事業バリューチェーンの拡充成長領域の伸長国内建設事業の深化持続的な成長10%を上回る水準※連結当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益※棒グラフの内訳は連結調整前の各事業の当期純利益を記載しているため,合計の連結当期純利益とは一致しない※想定為替レートは142円/1US$程度キャッシュアロケーション2024-2026年度累計資産回収8,500億円程度キャッシュイン(減価償却費用を含む)(期間費用を含む)キャッシュアウト有利子負債増加2,000億円程度当期純利益3,500億円程度以上成長投資1.2兆円程度株主還元2,000億円程度業績動向や投資機会を含む経営環境の変化に応じて,柔軟に投資や株主還元へ資金を配分する株主還元方針配当性向40%を目安とした配当を実施するとともに,業績,財務状況及び経営環境を勘案し,自己株式の取得など機動的な株主還元を行う財務の健全性維持のため,D/Eレシオ0.7倍程度を目安とするIRの強化経営方針に関する情報開示や投資家・市場との対話を一層強化する国内 1,700億円海外 5,200億円開発事業資産の売却による回収政策保有株式の売却による回収   500億円以上縮減方針政策保有株式は,『2026年度末までに連結純資産の20%未満』を目標とし,目標到達後も継続的に縮減を進める有利子負債回収計画600億円国内  3,200億円海外  6,300億円開発事業投資投資計画R&D投資500億円800億円デジタル投資600億円業務用不動産等への設備投資戦略的投資枠バリューチェーン拡充,イノベーション推進,新規事業の創出に向けた投資やM&Aなどに取り組むための投資枠,再生可能エネルギー発電事業への投資など環境関連投資(200億円)を含む柔軟な資金配分企業価値・市場価値のさらなる向上と財務戦略 前中期経営計画(2021~2023)においては,持続的な成長に向けた施策や投資を推進した結果,目標を超える利益を確保し,資本収益性についても目標のROE10%を上回った。新たな中期経営計画(2024~2026)では4つの柱から成る成長戦略を実践し,当社グループの持続的な成長や事業活動を通じた社会や顧客への貢献を目指すとともに,成長投資と株主還元のバランスを考慮した財務戦略により,企業価値・市場評価のさらなる向上を図っていく。 下図は,財務戦略として,3カ年の資金の源泉と使途の計画を示したキャッシュアロケーションである。 まず,キャッシュアウトについて,成長投資は,総額1.2兆円程度を計画している。R&D・デジタル投資,国内外の不動産開発投資に加え,環境関連投資,人的資本投資なども含めた新しい価値創出と持続的な成長に資する投資を推進していく。株主還元については,配当性向を40%目安に引き上げた。なお,投資と株主還元への資金配分については,業績動向や投資機会を含めた経営環境の変化に応じて,柔軟に配分していく方針だ。 次にキャッシュインについては,着実な利益の積み重ねに加え,開発事業資産と政策保有株式の売却による8,500億円程度の回収を計画している。有利子負債に関しては,2,000億円程度の増加を見込むが,財務の健全性維持のため,D/Eレシオ(負債資本倍率)は0.7倍程度を目安としている。 また,経営方針に関する情報開示や投資家・市場との対話を一層充実させていく。

11KAJIMA202407特集 鹿島グループ中期経営計画(2024~2026) ―中核をさらに強化し,未来を開拓する―R&D・デジタル投資,戦略的投資枠,業務用不動産等への設備投資R&D・デジタル投資600億円+500億円施工の自動化・ロボット化などによる 生産性向上生成AIの活用等を通じた業務効率化新たな価値の創出に向け,全社規模, グローバルなR&DやDXを推進「A4CSELforTunnel」自動化されたロックボルト施工バリューチェーン拡充,イノベーション推進, 新規事業の創出に向けた投資やM&Aを推進再生可能エネルギー発電事業への投資など 環境関連投資(200億円)を含むオープンイノベーションの一環として「TheGEAR」(シンガポール)におけるスタートアップの発掘・協業に向けた活動を実施魅力ある職場環境や寮・社宅の整備自動化施工や生産性向上に資する施工用 機械への投資業務用不動産等への設備投資600億円成長・変革を促すサードプレイス「KX-LAB」(東京都)戦略的投資枠800億円2021-232018-202024-262027-292,000億円1,580億円600億円660億円投資3,200億円 売却による回収1,700億円国内開発事業将来的な収益確保に向けた優良資産の積み上げ期にもあたり,リスク管理を徹底しつつ,外部資金も活用した投資を継続レパートリー拡充,優良資産積み上げによる収益源の多様化,収益機会の拡大増加投資回収投資投資回収回収増加3,200億円(仮称)札幌4丁目プロジェクト新築計画(北海道)(仮称)鹿島南六郷物流センター(東京都)自由が丘一丁目29番地区第一種市街地再開発事業(東京都)キャノピーbyヒルトン沖縄宮古島リゾート(沖縄県)オフィス・商業ホテル物流倉庫商業・住宅1,700億円2021-232018-202024-262027-292,000億円1,000億円2,690億円5,200億円5,830億円投資6,300億円 売却による回収5,200億円海外開発事業資産売却により回収した資金・利益を再投資するサイクルを拡大し,投資・回収ともに増加(ネット投資は減少)地域別の投資計画緩やかに増加緩やかに増加投資回収投資回収回収投資6,300億円58%北米5%大洋州投資額20%欧州17%アジア6,300億円※回収についても投資と概ね同程度の地域別比率を見込む賃貸集合住宅(米国)スナヤン・スクエア(インドネシア)グエノベファ太陽光発電施設(ポーランド)北米流通倉庫,賃貸住宅など,短期回転型事業を中心に推進アジア複合施設開発・運営など長期保有型事業に加え,販売事業も強化欧州流通倉庫,学生寮,再エネなど多様な事業ポートフォリオを構築投資計画の概要国内開発事業海外開発事業