アークシステムワークスより2017年8月31日に発売されたニンテンドー3DS用ソフト「探偵 神宮寺三郎 GHOST OF THE DUSK」のプレイインプレッションを掲載する。

生誕30周年を迎えた「探偵・神宮寺三郎」シリーズ。そんな記念すべき年にリリースされたのが、 アークシステムワークスから発売中のニンテンドー3DS用ソフト「探偵 神宮寺三郎 GHOST OF THE DUSK」だ。

神宮寺三郎は、1987年に発売された第1作「探偵 神宮寺三郎 新宿中央公園殺人事件」(ファミリーコンピュータ ディスクシステム)を皮切りに、30年に渡りミス��リーアドベンチャーのファンから熱い支持を受けてきた名作シリーズだ。

本稿では、生誕30周年、前作「��讐の輪舞」から約5年の月日を経て登場した最新作「GHOST OF THE DUSK」のインプレッションを試みる。

当時ファミコンと言えば子供の玩具というイメージが強く、ラインナップのほとんどは、小学生~中学生を対象に据えたものだった。しかし「神宮寺三郎」シリーズは、そんな風潮に風穴を開けるかのように颯爽と登場。新宿が舞台であることや、メインの登場人物が渋い大人であること、プレイヤーの脳を刺激する推理ものであることなど、それまでのファミコンタイトルとは一線を画したものだった。

とはいえ筆者も、さすがにファミコン時代のシリーズをリアルタイムではプレイしていない。初めてプレイしたのは、セガサターンやプレイステーションで発売された「未完のルポ」だったと記憶している。

過去作品のメインビジュアル

筆者と神宮寺三郎との間にはかなりの隔たりがあったため、シリーズ未経験者にも近い筆者がいきなり最新作をプレイして楽しめるのか、という不安があった。続編もののタイトルに手を出す時、未経験者であれば誰もが感じることだろう。

しかしその考えは杞憂であった。「GHOST OF THE DUSK」は、過去作の知識を必須とする場面がほとんどないため、一見の筆者でもすんなりとシナリオに入り込むことができたのだ。これは、筆者を始め、神宮寺三郎に精通していない新規ファンにとっては素直に嬉しいことだろう。

サブタイトルでもあり本編ストーリーの名も冠している「GHOST OF THE DUSK」は、謎の屋敷で起きたホームレスの不審な事故死から始まり、その後、事態が思わぬ方向へと急展開するドラマティックなエピソードだ。

新宿という実在の街を舞台にしていることもあり、フィクションでありながらも、どこかリアリティを感じる。キャラクターデザインが写実的であることも関係しているのだろうが、妙に身近に感じてしまうのだ。

神宮寺の助手である御苑洋子や熊野参造といったシリーズに欠かせないキャラクターたちも良い味を出しており、熱烈なファンが多いのもうなずける魅力を放っている。「GHOST OF THE DUSK」のプレイをきっかけに、未プレイの過去作にも俄然興味が湧いてきた、というのが筆者の正直な感想だ。

シリーズを通しての主人公、神宮寺三郎。新宿歌舞伎町に事務所を置き、新宿界隈で活躍する私立探偵。
寡黙な性格ではあるが、義理人情に熱い一面もある
新宿淀橋署の警部である熊野参造。神宮寺とも旧知の仲だ
御苑洋子。神宮寺の助手とする才媛で、六カ国語を使いこなす

とっつきの良いシンプルなシステム

ゲームシステムは、贅肉を極限まで削ぎ落としたシンプルさが特徴。「見る・話す」「移動」「探索」「TPS(トークプロファイルシステム」「手帳」といった、「神宮寺三郎」シリーズを形成するために必要な最低限のパーツで構成。王道すぎるほど王道のコマンド選択式アドベンチャーであり、まるで「余計なシステムは必要ない!」とでも言わんばかりの潔さすら感じる。

探索パートでは、怪しい場所を徹底的に調べることができる

もちろん、神宮寺の渋さを引き立てる、定番の「たばこシステム」は健在だ。謎解きに詰まった時などに使用するシステムではあるが、演出も見応えあり。神宮寺三郎シリーズをプレイしていなくても、「たばこシステム」は聞いたことがあるという人は少なくないだろう。

シリーズ定番の「たばこシステム」

音楽の存在も神宮寺三郎を語る上では欠かせない。特に、夜の静かなバーで流れていそうなジャジーな楽曲たちは、アダルトな雰囲気を醸し出すのに一役買っており、思わず夜の新宿に繰り出してしまいたくなるような魅力を放つ。神宮寺三郎に何を求めているかは人それぞれではあるが、楽曲に魅力を感じてシリーズのファンになったという人も少なくないはずだ。

かつて携帯アプリで配信されていた「鬼姫伝」「愛ゆえに」「勿忘草の想い」「揺らめくひととせ」が収録されているのも見逃せない。現在は配信停止されているため、中半幻の名作とも言われているこれらのシナリオがプレイできるのも、「GHOST OF THE DUSK」の大きなアピールポイントと言えるだろう。

「鬼姫伝」 「愛ゆえに」
「勿忘草の想い」 「揺らめくひととせ」

インプレッションは以上だ。繰り返すが、本作は、ミステリーやハードボイルドが好きな人であれば、シリーズに精通していない人でも間違いなく楽しめる作品だ。

「シリーズを通ってないし……」と、先入観だけでプレイしないのはあまりにもったいない。むしろ、本作で神宮寺三郎デビューを飾り、その後過去作を遡ってプレイしてみるのもアリだと思う。ニンテンドー3DSでのリリースということもあり、スキマ時間でプレイできる気軽さも嬉しい。この記事を読んで本作が気になったという方は、ぜひ一度購入を検討してみてほしい。きっと、一度ハマったらなかなか抜けられない神宮寺三郎の世界が広がっているはずだから。

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

コメントを投稿する

この記事に関する意見や疑問などコメントを投稿してください。コメントポリシー